郷愁を感じ、涙が溢れてしまうのは何故だろう

おそらく、「色々あったけれど、ここまで頑張って生きてきたんだ」という、極めてナルシシスティックな感情からなのではないだろうか。


色々あった。ほんとうに、いろいろと。


独り布団にくるまって泣き明かした夜。猫を抱き寄せ、あたたかさに触れ、孤独を紛らわした夜。先生の情熱的な言葉に胸打たれたあの日。あの人の死。初恋のせつなさ。人を傷つけた分受けた痛み。「ありがとう」の一言で泣いた午後。友人との他愛もない会話。ひとりぼっちのつらさ。病院のベッドで見ていた、乾いた天井。暇ばかりもてあましていて、しかし何もできなかった日々・・・


幼さというのは、犯罪的に素直で、痛いほど直線的で、明らかに自意識過剰で、いらないほど感受性豊かだった。


皆それぞれの過去があり、生きてきた時間があるのだろう。高校生の貴方も、大学生のきみも、“大人”になってしまったみなさまも、みんな、ここまで生きてきた事に対し、多分にナルシシスティックになってよいと思う。そして、もっと歳をとって、もっとナルシシスティックになればいいと思う。「自分を褒めてあげたい」って、著名な方が仰ってましたよね。そう、どんどん褒めてやればいいと思う。今なら、多少の気恥ずかしさを込めて、言える。「歳をとるのはいいことだ」、と。