呼び込みのおにいさんへ

帰宅途中、いつもの道で「さあ一名様、キャバクラはいかがですか」と声をかけてくれるおにいさん。スマートな彼に、是非とも教えてあげたいことがある。それは、私に対してその呼び込みかたは間違っていますよ、ということ。こんがりと焼けた食パンに、練りたてのセメントをぬってしまうくらい間違っている。他の人のことはよく分からないけれど、少なくとも私に対しては、彼はこういった具合に声をかけなければならない。


「さあ一名様、ペンギンはいかがですか」、と。


もしそんなふうに声をかけられたら、一秒と間をあけずに喜び勇んで彼のもとに駆け寄るだろう。そして、早く連れて行けと言わんばかりに彼を追い立てるだろう。この事実を、是非とも教えてあげたいなあと思っているのだけれど、それで“ぼったくり”にあったらやだなあとか、ちょいと気恥ずかしいなあとか思って、自粛している。


・・・ってもまあ、お店に行ってペンギンが出迎えてくれなかったら、いちもくさんに逃げ帰りますけどね。