夕暮れ時になったら 楽しくやれるよ
昔から夕暮れが大好きだ。
この時期の夕暮れ時は、天気の良い日に見晴らしの良いスポットで三十分ほど佇んでいれば、赤く焼けた夕陽がゆっくりと(しかし確実に)落ちていく様子をまじまじと観察することができる。憂いとかなしみが、ひそやかに内包された夕陽と、一日の終わりをねぎらってくれているような、しっとりとグラデーションがかった美しい夕空。とある海沿いの片田舎で、平凡な高校生活を送っていた私は、放課後たまに部活をサボって浜辺まで自転車を走らせ、ゆらゆらと暮れゆく夕陽をぼおっと眺めていた。そして、その美しさに心打たれて、自然と涙が溢れてしまったものだ。
先日、久しぶりに夕陽をぼおっと眺めていたら、案の定涙が出てきてしまったのだけれど、その涙は夕陽と夕空の美しさに感動してのものというよりむしろ、メランコリックでノスタルジックな涙だった。自己憐憫に極めて近いものがあり、それを考えたら、さらに憂鬱になった。感受性の衰退を目の当たりにすることは、かなしい、とても。
・・・・・・ちなみにタイトルは、カスタネッツの「夕暮れ」という曲の出だし。大好きな曲だ。
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