映画 DEATH NOTE


遅ればせながら観てきた。前評判では、けっこう酷評されている方も多かったので(この人とか、特に)、あまり期待はしないようにして観たのだけれど、結論から言ってしまえば、なかなか面白く、楽しめました。下記に感想を書かせていただきますが、少しネタバレも含んでしまうので、念の為閉じておきますね。




原作のファンの方が、この映画を楽しむ為のポイントとしては、まず大前提として「原作とは違う作品なのだ」とゆうイメージを事前に持っておくことだと思う。設定からして、ライトは最初から大学生だし、彼女さんはいるし。漫画デスノートの最大の特徴でもある、あの膨大な独白部分も、映画では全くと言っていいほど表現されていないので、キャラクターひとりひとりの行動がずいぶん軽く薄っぺらく見えてしまっているけれど、そのおかげか大分キャッチーな仕上がりになっていて「デスノート派VS反デスノート派」とゆうテーマが分かりやすく表現されていた。あの漫画の雰囲気をそのまま映画で生かそうとしていたら、独白ばかりですごく重く説明ばったものになってしまいそうだし、娯楽映画としてかるーく楽しめるこの作り方は十分アリだと思った。


新キャラの彼女さんも、良い味を出してました。キラ反対派の彼女がいる事によって「デスノート派VS反デスノート派」とゆう構図をより鮮明に描き出す事に成功しているし、美術館の事件では、独白部分がないのでイマイチ伝わりづらかった「ライトの非情さ」も表現されていた。


とゆうわけで、全体として考えた場合は概ね好意的なのだけれど、残念ながら不満がないわけではない。「原作とは違う作品なんだ」と頭で言い聞かせても、どうしても納得のいかない、大きな大きな不満があった。


それは、“夜神月”というキャラクターの描き方だ。原作での、あの見事なまでの天才ぶり、非情ぶり、熱い心、確固たる信念とそれを成し遂げようとする尋常でない行動力、時折見せるシニカルなジョークなどなど、彼の魅力たるものがこの映画版ではほとんど見受けられなかった。人前でノートを堂々と使うなんて、全くもってして論外。外出先でリュークにリンゴを投げるなど、不用意な言動も目立った。独白部分に語らせる事ができないので、ライトの天才性や信念が薄らいで見えるのは仕方がないかもしれない。しかしそれを除いたとしても、もう少し頭脳明晰で配慮のあるよう描く事はできたはずだ。


あと、何故か少し「間延び感」があった。ドラマにしては人の心情描写が少ないし、サスペンスとしてはドキドキハラハラする場面が少なかったし、なんだか中途半端な印象を受けた・・・とまあ、マイナス点もいくつか書いてしまったけれど、基本的には最初に言ったように、なかなか楽しめた作品でした。今秋公開予定の続編に期待します。